どうもガクせんです。
近年ますます注目が集まる「遊び」
このように、たくさんの教育界の著名人たちも口を揃えて「遊び」の重要性について言及しています。
一方、遊びとは言えない、語学や計算力を鍛えるような早期教育はどうでしょう。
早期教育とは、子供本人ではなく保護者や国家など大人の意向で、
一般よりも年齢を繰り上げて文字や数、外国語、音楽、スポーツなどの教育を開始すること。 引用:Wikipedia
シカゴ大学のヘックマン教授の40年間の追跡調査によると「就学まえに学力を上げたとしてもても、8歳で差はなくなる」という衝撃の研究結果があるのです。
また、ニューヨーク大学の研究でも「子どもの早期教育とIQとの因果関係は無い」ということがわかっています。
つまり、子どもの能力を伸ばしたいのであれば
従来の早期教育❌
遊び⭕️
と言われてきているわけです。
そこで、今回は、さらに注目が集まること間違いなしの「遊び」について、ピーター・グレイ著「遊びが学びに欠かせないわけ」をもとに詳しく解説していきます。
- 「遊び」とは何かがわかる
- なぜ人は遊ぶのかがわかる
- 「遊び」にはどのようなメリットがあるのかがわかる
それではまいりましょう!
目次
「遊び」とは何か
「遊び」という言葉は日常でよく使う言葉です。
しかし、「遊びって何?」と聞かれると正確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。
そこで、ここで一度「遊び」とは何か定義してみましょう。
本書では、「遊び」は以下の5つに要素で構成されていると言います。
活動がこれらの特徴を伴っていればいるほど、より多くの人は、その活動を遊びと捉える傾向があります。
このように定義してみると、すごい速さで変化する現代において「遊び」のもつ可能性の大きさが感じられます。
なぜ人は遊ぶのか
「遊び」について定義してきましたが、そもそもなぜ人は遊ぶのでしょうか?
その答えは、成長に必要だからです。
もっと極端にいえば生きていくために必要ということですね。
遊ぶことによって、その後も生きて生存していくのに必要なスキルなどを身に付けるために、遺伝的には不十分にしか受け継がなかった能力を自らの体験を通して補うことができるのです。
引用:ピーター・グレイ著「遊びが学びに欠かせないわけ」
ライオンも、子どもの頃に遊びながら狩りの能力を身につけています。
猿も、遊びながら、木登りを覚えます。
もちろん生物である以上、人間も同じなのです。
自分に必要な能力を引き出してくれるのが「遊び」なのです。
「遊び」のメリット/6つの能力で解説
では、人間は遊びを通じて、どのような能力を引き出すことができるのでしょうか?
細かく分類すると以下の6つの能力になります。
では、一つひとつ解説していきます。
肉体的な能力を引き出す
他の動物と同じように、私たちも強固なからだと、十分に調整された形で動くことを学ばなければなりません。従って、私たちは他の動物たちの遊びと共通点がある、走ったり、飛び跳ねたり、追いかけたり、荒っぼいゲームなどの「肉体的な遊び」をします。からだを鍛えるために、子どもたちが自主的に、バーベルを上げたり、運動場のトラックを走ったりすることはありません。
引用:ピーター・グレイ著「遊びが学びに欠かせないわけ」
つまり、子どもは、遊びを通じて思いきり体を動かし、強固な体づくりをしていくということです。
また、9000人の幼稚園児を対象とした調査によると、「週に2回以上体育指導を行ったグループ」と「体育指導なしで自由遊びをしていたグループ」を比較したところ、自由に遊んでいた児童のグループの方が運動能力が高かったとう結果が得られたそうです。
この結果からも、人は、自由な遊びの中でこそ、効率よく身体能力を高められることがわかります。
言語的な能力を引き出す
私たちは言葉をもつ動物なので、話せるようになるために「言葉遊び」もします。小さな子どもに言葉を教える必要はありません。彼らは遊ぶことを通して、自分で学んでしまいます。
引用:ピーター・グレイ著「遊びが学びに欠かせないわけ」
つまり、教えなくても「遊び」を通じて、人は言葉を身につけるといことです。
小さい子をよく観察してみると、いろいろな言葉を会話の中や1人遊びの中でためしています。
親のマネをしたり、アニメのキャラクターになりきったりして様々な言葉や文法を楽しみながら使っていきます。
その過程の中で、効率よくいろいろな言葉を習得していくことができるのです。
探索的な能力を引き出す
私たちはホモサピエンス、つまり世界とはいったい何なのかを理解する賢い人です。そのために、私たちは理解を構築するために探究と遊びを結びつけた「探索的な遊び」をします。
引用:ピーター・グレイ著「遊びが学びに欠かせないわけ」
子どもの遊びをよく見ていると、そのほとんどが探索的な活動であることに気がつきます。
子どもが大好きな虫取りや探検などは探索的な活動の代表とも言えます。
遊びを通してスキルを磨きながら、新しい発見をしていくのです。
建設的な能力を引き出す
私たちは物を作ることによって生存し続けている動物です。それには、住まい、様々なツール、コミュニケーションを助ける装置、場所から場所に移動するのを助ける道具などが含まれます。従って、私たちには「建設的な遊び」があります。
引用:ピーター・グレイ著「遊びが学びに欠かせないわけ」
子どもは、何かを作ることが大好きです。
砂場で山を作ったり、段ボールでお家を作ったり、意欲的に創作活動に取り組みます。
その「創造的・建設的な遊び」を通して、生存し続けるために必要な物をつくる力を養っていくのです。
空想的な能力を引き出す
私たちは想像力に富んだ動物です。存在しないものやいまここにないものを考えることができます。私たちは「空間的な遊び」ないし「ごっこ遊び」をします。それは私たちの想像力を鍛え、論理的な思考のベースも提供してくれます。
引用:ピーター・グレイ著「遊びが学びに欠かせないわけ」
子どもたちは、何かになりきったり、架空の世界に入り込んだりして遊ぶことが大好きです。
そんな遊びをする過程の中で、想像力、発想力を鍛えているのです。
社会的な能力を引き出す
私たちはとても社会的な動物です。生存し続けるためには他者と協力する必要があります。なので、私たちは様々な「社会的な遊び」をします。それが私たちに協力の仕方や、社会的に受け入れられるように、協調性や衝動の抑え方を教えてくれます。
引用:ピーター・グレイ著「遊びが学びに欠かせないわけ」
子どもたちは、遊びの中で、よりみんなが公平に楽しめるようにルールをつくったり、役割を決めたりします。
例えば、おにごっこやドロケイ、ドッジボールなども、人数やメンバーの年の差などを考えて、みんなで楽しめるルールを子どもたちはつくり出していきます。
鬼になったり、審判になったりと、遊びに必要な役もちゃんと引き受けます。
このような過程の中で、子どもたちは社会性を身につけていくのです。
「遊び」が引き出す6つの能力について解説しましたが、それぞれの能力は互いに密接に関わりながら一つの遊びを構成しています。
例えば、元気いっぱい外で行われるゲームでは、肉体的、言語的、探索的、建設的、空想的、そして社会的の6つ全ての能力を育てることにつながります。
このように、遊びをたくさん経験し、6つの能力を高めていくことが、私たちを十分に機能する有能な人間に育てあげるのです。
まとめ
一昔前は「勉強は遊びじゃありません!」「遊んでばかりいないで勉強しなさい!」という言葉が常識になっていましたが、これらは明らかに間違いだということがわかりましたね。
アメリカの学習科学・発達心理学者の「キャシー・ハーシュ」「ロバート・ゴリンコフ」も、子どもにとって最高の学習ツールは「遊び」だと言っています。
遊びによって、忍耐力・好奇心・社会性が養われ、その結果、学歴・収入・持ち家率が上がり、犯罪率が下がるのだそうです。
また、3000人の子どもを対象に行った調査では、「いろいろな習い事をさせるより、自分が好きな時に自由に遊んでいる方が語彙力は高まる」という結果もあります。
このような結果からも、「遊び」の価値をもう一度社会で見直していく必要がありそうですね。
そんな意味でも、この記事が少しでもお役に立てたら嬉しいです。
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