どうもガクせんです。
このような願いをもっている先生は多いのではないでしょうか。
そんな願いを叶えてくれる実践があります。
その名も「哲学対話」です!
この哲学対話を取り入れたことで子どもたち、そしてクラスが大きく成長しました。
今回は、そんな「哲学対話」について、「哲学対話とは何か」から「哲学対話やり方」まで詳しく解説していきます。
- 哲学対話とは何かがわかる
- 哲学対話の必要性や効果がわかる
- 哲学対話のやり方がわかる
それではまいりましょう!
目次
哲学対話って何?
哲学対話とは、簡単に言ってしまえば「答えのない問い」についてみんなで対話を通して考えるということです。
例えば
答えのある問い | 答えのない問い(哲学的な問い) |
1➕1は? | 強い人ってどんな人? |
「かなめ」を漢字で書くと? | 幸せって何? |
神奈川の県庁所在地はどこ? | 親友ってどんな人? |
このように比べてみると分かるのではないでしょうか。
「答えのない問い」とは、人によって答えが違ってくるもので、「これが正解」といったようなものがないものです。
このような問いについて、それぞれの考えを伝え合いながらお互いの思考を深めていく作業こそが「哲学対話」なのです。
何で哲学対話が必要なの?
ここ10年の情報革命により世の中は大きく変化してきました。
世の中が変化するということは人に求められる力ももちろん変化します。
今まで大切にされてきた「学んだことを制限時間内に正確に再現する力」はAIが最も得意とする分野であり、このような知識基盤型の力はこれからの時代には不要な力となってきています。
また、グローバル化が進み、多様な価値観が混在するこの世の中では、「これが正しい」「これが常識」といった正解主義的な考えは通用しなくなりました。
では、どのような力を育てればこれからの時代を豊かに生きていくことができるのでしょうか。
教育哲学者の苫野一徳さんによると、これからは「自ら考える力」「自ら学ぶ力」が大切だと語られています。
次々と新しい情報やサービスが求められるこのポスト産業社会においては、従来のように知識を「ため込む」力より、自ら考え、自ら学ぶ力を持った”人材”が必要とされているのです。
引用:苫野一徳「教育の力」より
そんな時代にこそ求められるのが、「哲学対話」なのです。
哲学対話のメリットとは
哲学対話を通して、たくさんのメリットを感じることができました。
まとめると
- 自分の中にある価値観に気づく
- 自分を客観視する力が育つ
- 他者と自分の違いに気づく
- 物事の本質を見抜けるようになる
- 協働しながら新たな考えを構築できるようになる
- 考えること、学ぶことの楽しさを感じる
などがあげられます。
何より、哲学対話を行っていく中で、ボクが感じたのは、普段の授業に比べて「子どもたちがイキイキとする」ということでした。
そこには
という思いが生まれていたからだと思います。
このような感情は従来型の「答えは一つ」というような学習では得ることはできません。
今までの常識が崩れ、誰もがこの先を予想することが困難である現代において、このような感情は欠かせないものと言えます。
では、実際に哲学対話をどのように進めていけばいいのでしょうか。
次は、哲学対話の実践方法について解説していきます。
哲学対話の進め方
ボクは小学校教員として、子どもたちと一緒に哲学対話を進めてきました。
ボクは、哲学者である河野哲也さんが監修するで放送されている「Q〜こどものための哲学」(NHKforSchool)という番組を教材として活用させてもらっていました。
これから哲学対話を始めたい方には、河野哲也さんの著書がとても参考になるのでオススメです。
では、具体的にやり方について解説していきます。
流れはざっとこんな感じ↓
では、もう少し詳しくみていきましょう。
①サークルになって座る
哲学対話はファリシテーター(対話の促進者)が中心になって行います。
ファシリテーターは基本先生がやりますが、慣れてきたら子どもに任せるのもありです。
まずは、みんなでサークル(円)になって座ります。
ファシリテーターを中心に以下の手順で進めていきます。
②あいさつ
「みんなで対話しながら考えを深めていきましょう。よろしくお願いします」
とファシリテーターがあいさつをしてスタートします。
③ルールの確認
あいさつが終わったら、毎回必ずルールを確認しましょう。
ルールはこちら↓
Qワード:「なんで?」「たとえば?」「反対は?」「ほかの考えは?」など
④今日の「Today’s Q(問い)」の確認
「今日の「Today’s Q(問い)」は「 」です」
「 」の何は答えのない問い(哲学的な問い)が入ります。
例えば、「友達って何?」「かっこいいって何?」など
⑤シンキングタイム
「対話する前の自分の答えを書きましょう」
と問いかけ、対話する前に自分の考えを整理させましょう。
⑥対話を始める。
「では対話を始めます。考えを教えてください」
と子どもたちから意見を言わせていきます。
ここからがファシリテーターの腕の見せどころです。うまく問い返したり、他の人に話をふったりしながら思考を深められるようにしましょう。
対話を活発にするための技
- 思考タイムづくり・・・「しばらく考えてみましょう。」と考える時間をとる。
- まとめてもらう・・・話の展開が早かったり、分かりにくかったりした時には、一度誰かにまとめてもらう
- 別に人に聞いてみる・・・「○○さんはどう考えますか」と聞いてみる。
- 全員に答えてもらう・・・「○○さんの考えに賛成の人(反対の人)?」と手をあげてもらい、その人の意見を聞いてみる。
- 全員に横回しで意見を聞いてみる。
- 対話を展開する・・・煮詰まって意見が出なくなったら、テーマを少し変えてみたり、もとの問いにもどったりする。「○○について考えてみましょう」「もう一度○○にもどって考えてみましょう」
⑦対話を振り返る。
「対話した後の自分の考えを書きましょう」
と問いかけ、対話後の自分の考えを整理させます。
⑧あいさつ
「これで対話を終わります。ありがとうございました」
とあいさつをして哲学対話は終了です。
使うワークシートはNHK for Schoolでダウンロードできます。
ボクはアレンジして1時間のふり返りの欄も付けました。
ファシリテーター進行表はこちら↓
最初の授業参観で「何で勉強しなくちゃいけないの?」という問いでやった時には保護者の方にも参加してもらいました。
いろいろな立場の意見が出て面白かったです。
また、年度始めに「なんで勉強しなくちゃいけないの?」という問いについて考えておくことはとても大切だと感じました。
大人でもちゃんと説明できる人は本当に少ないと思います。
おまけ:哲学対話の進め方(家庭編)
ボクは家でも哲学対話を楽しんでいます。
例え幼稚園生でも、子どもたちは考えることが大好きで、寝る前に子どもの方から「哲学対話しよう」と誘ってくるほどです。
家でやっている哲学対話は学校でやるよりもかなりシンプル。
例えば
など、どんどん質問しながら考えを深めていくのを楽しむだけです。
意外にも、しっかりと考えることができて、驚かされることも多いです。
家庭で哲学対話をする時にオススメの本はこの2冊
オスカーブルニフィエの本は全7巻のシリーズ本になっています。
どちらも子どもが楽しみながら考えられる問いがたくさんのっていますよ。
もちろん、NHKforSchoolの「Q〜こどものための哲学」もうちの子は大好きです。
まとめ
哲学対話について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
哲学対話は、これから豊かに生きていくために必要な力を育ててくれます。
ぜひお試しください。
何よりも「みんなで楽しみながら」が大切です。
いい問いを見つけたらどんどん子どもたちに投げかけていきましょう。
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こんな人におすすめ
- 子どもとの関係づくりに悩んでいる
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