どもうガクせんです。
情報革命により大きな変化が起こっている現代において、子どもの教育に悩まれている親や先生は多いのではないでしょうか。
そんな、子どもの教育の指針に悩んでいるあなたに、今回は、絶対に育てた方がいい「これからの時代に大切な2つの力」ついて解説していきます。
先に結論を言ってしまうと、その2つの力とは
です。
しっかりと意識して、この2つの力を育てることができれば、子どもたちは自立し、自らの足でこれからの時代を幸せに生きれるようになるでしょう。
- 成長思考、好奇心の育て方がわかる
- 子育てに迷いがなくなり自信がもてるようになる
それではまいりましょう!
目次
成長思考
まずは成長思考から!
成長思考とは
成長思考とは、簡単にいってしまえば
というような前向きな思考パターンのことです。成長マインドセットとも呼ばれます。
一方、この成長思考の逆は固定思考といい
「自分の能力は生まれながらに決まっていて、一生変わらない」
という思考パターンのことです。
世界的権威の心理学者キャロル・ドゥエックが20年にわたる研究のもと提唱しました。
この思考パターンの違いによって、いろいろな場面で大きな違いが出てくるのです。
次は、その大きな違いについて具体的なエピソードを交えながら説明していきます。
成長思考をもっている子の特徴
先ほども説明したように、成長思考をもっている子は基本的に前向きです。
そのような思考傾向をもっている子は次のような特徴があります。
- コツコツ努力できる
- 楽観的
- 打たれ強い
- チャレンジ精神がある
固定思考になっている子は、これとは逆と考えてください。
簡単に言えば
- 意欲がない
- 悲観的
- すぐに諦める
- チャレンジしようとしない
という特徴があります。
ボクの教員経験の中で出会ってきた子どもたちを例にみていきましょう。
例えば、子どもが、算数の授業で新しい問題に出会った時や次週に漢字50問テストなど難しいテストがあることがわかった時などにその思考の違いははっきり見られました。
成長思考をもっている子は、このような困難や課題に直面した時、最初は「えー!」など不満そうな顔をしますが、次の瞬間には一生懸命取り組み、成果を出します。
中には、「なんだかワクワクしてきた!」と困難に対して自分の成長のチャンスと言わんばかりに喜んでしまう子さえいます。
一方、固定思考になっている子は、少しも直面した困難を乗り越えようとする行動に出ません。
むしろ、ゲームに没頭するなど、その困難から逃げようとします。
友達と喧嘩をした場合もそうです。
成長思考もっている子は、最初はプンプン怒っていますが、次第に仲直りする方法を考え出し、解決する行動をとります。
一方、固定思考の子は、「この子とは一生仲良くなれない!」とずっと解決の糸口を見つけようとしません。
このように大きな違いが生まれてくるわけで、人生豊かに生きていくためにはどちらの生き方がいいかは明らかですね。
では、どうしたらその成長思考を身につけさせることができるのでしょうか。
成長思考の育て方
「いやいやそんなの性格の違いでしょ!」と思われたあなた。
その考え方も「固定思考」の罠に陥っていますのでご注意を!
でも、安心してください。人はいつからでも成長できます。続きの記事をみて、自分自身の成長思考も身につけちゃってください。
子どもの成長思考を育むための具体的な方法としては以下のものがあげられます。
- 他人との比較より過去の自分との比較
- 無視のスキルと選択的注目
詳しく解説していきます。
他人との比較より過去の自分との比較
このような他人と比較する声かけを親だとついついしてしまいがちです。
「もっと良くなってほしい」という親の願いからくる言葉ですが、子どもの成長思考を育成するには逆効果です。
「自分は能力がない」ということを強烈に印象付けてしまうことになります。
それより、「一年前のあなたより、○○ができるようになったね」など過去の自分との比較に目を向けさせるような声かけが有効となります。
なぜなら、過去の自分との比較からは必ず「成長」が見えてくるからです。
そして何より、「自分は変われるんだ!」という意識を強烈に印象付けることができます。
自分の成長はなかなか自分自身では気付きにくいものです。
本当にちょっとした成長でもいいです。
ぜひ子どもに気づきを与えてみてください。
きっと子どもの中で気持ちに変化が生まれる事と思います。
ダメなところはあえて無視する。(無視のスキル)
親であれば、必ずといって良いほど、子どものダメなところは良いところの何倍も目につきます。
無意識的に、反射的に
とダメ出しをしてしまいます。
このように、ダメ出しをされることが積み重なっていくと、子どもは「自分は能力がない」「自分はダメな人間なんだ」と自己肯定感が下がり、固定思考が形成させていきます。
でも、ダメ出ししてしまった自分を責めないでください。
なんせ反射的にですから、仕方ない部分もありますよね・・・。
ただ、大切なのはダメ出しが固定思考を形成するという事実を知っておくことです。
行動変容はその後の話です。人は変われます!成長思考でいきましょう!
そこで、大人に身につけて欲しいのが無視のスキルです。
つまり、ダメなところを見てもあえて無視するのです。
指摘すればよくなると言う迷信から抜け出すのです。
一日、一回でも良いです。ダメなところを無視できた回数を数えてみてください。
だんだん反射から抜け出すことができて来ます。 そして、無視できた自分を認められるようになります。
もう一つ無視のスキルと合わせて使うと効果的な方法を紹介しますのでセットで身につけちゃってください。
良いところに注目する(選択的注目)
選択的注目とは、意識的に「良いところに注目する」と言うことです。ブライトスポットテクニックとも言います。
簡単に言えば
「ダメ出し」の反対の「良いだし」ですね。
良い言動がみられた時はすかさず
と声をかけましょう。
これプラスの言葉は言い換えれば、心の栄養でもあります。
体の栄養を与えるのは忘れないのに、意外に心の栄養を与えるのを忘れている人は多いです。
ただ、良いところを見つけるのは少し難しいです。
上述したようにダメなところは意識せずとも見えてしまいますが、良いところを見つけるには意思の力が必要になります。
ボクも以前は、ダメ出し人間でした。
教員生活若手の頃は必死にダメ出しばかりしていました。そうすれば子どもはきっと良くなると信じていました。
しかし、何年もかかってしまいましたが、それは間違っているということを子どもたちから教わりました。
それからは、良い出しを心がけ、努力して来ました。
何事も練習すれば上手くなるものです。
今では、自分の得意なところとして「人の良いところを見つけること」と胸をはって言える程、人の良いところが自然と見えるようになりました。
同時に人のダメはところは以前より何倍も気にならなくなってきました。
ぜひ一緒に良いところ見つけ名人になって子どもの成長思考を育てていきましょう。
好奇心
さて、お次は「好奇心」です。
この力も、成長思考に負けず劣らず、将来豊かに生きていくために大切な力になります。
そんな注目の「好奇心」
ここからは、東京大学名誉教授の汐見稔幸先生の著書「学力の基本は好奇心です」を参考にさせてもらいながら解説していきます。
2008年出版の本ですが、今の時代こそ大切だ!と思えるマインドがたくさんつまっています。とても読みやすい本なのでぜひ読んでみてください。
ではいってみましょう!
好奇心とは
成長思考と比べて好奇心という言葉は世の中で当たり前のように使われていますね。
簡単に説明してしまえば「物事を探究する力」と言えます。
そんな好奇心ですが、近年の教育界においてますます注目を集めてきています。
子どもがどういうときに、自分で一生懸命考えたり、調べたりするようになっていくかというと、それは好奇心や関心をもったときです。
汐見先生の素敵な子育て「学力の基本は好奇心です」より
そう、好奇心こそが全ての学びの活動を支える土台だったのです。
そんな当たり前とも言える事実があるにも関わらず、今までの社会では
たくさん勉強する→いい成績をとる→いい大学に入る→いい会社に入る→幸せ
という神話にも似た話が信じられてきました。
つまり、全ての出発点であったはずの「好奇心」が完全に無視されてきてしまったのです。
終身雇用が崩壊した現代において、いい会社に入ることが本当に幸せなのでしょうか?
自由を手放して幸せは手に入るのでしょうか?
「勉強すれば幸せになれる」という考えは、これからの時代には陳腐化していき、「強い好奇心をもっていれば幸せに生きられる」が常識になっていくことでしょう。
なぜなら、汐見先生が提言されているように、学びの出発点は「好奇心」だからです。
歴史に目を向けてみても、エジソン、アインシュタイン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ベートーヴェン、数々の発見や発明、文化を想像してきた人物の根元にあったのは紛れもない「好奇心」でした。
AIの進化が凄まじい現代において、正解のある問題を解く力より、問題を見つける力や新しいものを生み出す力が必要になってきているのは周知の事実ですね。これらの力は好奇心を抜きにして身に付けることなどできません。
それだけ、「好奇心」はこれからの時代に欠かせないものなのです。
ちなみに、アフリカ大陸で生まれた人類が色々な大陸へと繁栄していった理由も「好奇心」が理由だっとという説もあるそうです。
好奇心をもっている子の特徴
ボクも、12年間の教員経験の中で好奇心の塊のような子に出会ってきました。
その中で、好奇心の強い子には以下のような特徴があることがわかってきました。↓
数え上げればキリがないほどたくさんの良さをもっていました。
とにかく物事のいい面を見るのが得意な子が多かったように思います。
また、何事にも明るく前向きに取り組み物事を解決していく傾向がみられました。
そう、みなさんお気づきのように成長思考と好奇心は深く関係しているのではないかと感じました。車でいうところの両輪のような働きをしているのだと思います。
好奇心の育て方
「好奇心と言われても・・・うちの子は何にも興味を示さなくて」とお悩みの方もいますよね。
では、どうやったらその好奇心を育てることができるのでしょうか。
汐見先生の本をもとに解説していきます。
自然に触れる
汐見先生によると「基礎はやっぱり自然体験」だそうです。
満点の星空をみて、星ってこんなにあったんだとおどろく。秋なら落葉のなかに入ってみると、落葉が発酵してあたたかいことにおどろく。このようなことは自然体験をしなければわかりません。自然には予想をくつがえすような発見がありますが、それはとても新鮮な体験となります。こうしたおどろきこそ、好奇心をはぐくみ、なにかをためしたり、集めたり、考えたりするきっかけになっていくのです。
汐見先生の素敵な子育て「学力の基本は好奇心です」より
自然の中には、予測不可能なものがたくさんあります。
だからこそ、新鮮だったり、驚いたりといろいろな刺激を脳に与えてくれるのです。
人間は本能的に「知りたい」という欲求をもっています。そんな本能を呼び覚ましてくれるのが自然のもつ大きな力ですね。
自分でやってみる
子どもは実体験することによって、さまざまな感情をもちます。「えっ!」とおどろいたり、「どうして?」と問いをなげかけたり、あるいは、おもしろいとか、楽しいと感じたりします。
汐見先生の素敵な子育て「学力の基本は好奇心です」より
つまり、「自分でやってみる」「自分で感じてみる」というのが何よりも大切なのです。
自然体験同様に、実際に自分で見たり、触れたり、働きかけたりと五感をフルに使って体験することで物事の本質を掴んでいきます。
その過程にこそ、また新たな発見や疑問が生まれ、自分の中に眠る「好奇心の芽」を育ててくれるのです。
下の図をみてください。↓
子どもの学力が育つための要素と構造を表した図
全ての土台は実体験であり、その体験から感情が生まれていきます。
学校が重視している文字・数は、そのような土台に支えられて初めて成り立つのです。
体験の土台(好奇心)が無いのに、知識ばかりを提供されても、はかなくもその知識はこぼれ落ちていくだけなのです。
事実、好奇心の強い子の発言の中には体験的な要素が多かったように思います。
例えば
など、色々な体験をしてきている様子がうかがえました。
そのような子は、学校の授業で何かを学んだ時に「自分の体験」と結びつけることができるので理解が早く深くなります。
また、これはボクの完全な私見ですが、本当に「頭がいいな」と感じる子は、「塾でバリバリ勉強している」という子ではなく、「遊びや自分の好きなことに没頭する時間をもっている子」のように感じていました。
君は、水が酸素と水素からできていることは知っているね。それが1と2との割合になっていることも、もちろん承知だ。こういうことは、言葉でそっくり説明することができるし、教室で実験を見ながら、ははあとうなずくことができる。 ところが、冷たい水の味がどんなものかということになると、もう、君自身が水を飲んでみないかぎり、どうしたって君にわからせることができない。誰がどんなに説明してみたところで、その本当の味は、飲んだことのある人でなければわかりっこないだろう。
「君たちはどう生きるか」より
物事を理解するのに体験に勝るものはないのですね。
自然体験をはじめとした様々な体験が減ってきている現代にこそ、もう一度「好奇心」という力の育成に焦点を当てていく必要があります。
今の学校のように、1日の何時間もの時間を椅子に座って教科書の内容を勉強していくというスタイルでは、この「好奇心」を育てることはできません。むしろ、学びをつまらないものにしてしまっているのが現状です。
公教育にこそ、もっともっと体験ベースの学びにシフトしていく必要があると感じています。
スイスの哲学者ジャン=ジャック・ルソーのエミールでも「12才までは体験による感覚・知覚を育てることを重視して教育せよ」と述べられています。
汐見先生の著書でも、「体験をたくさん積んで、感性が育っている子は大学進学後でもグンとのびる」と話されていました。
日本人は、受験システム、偏差値至上主義の毒牙に犯され、教育を焦りすぎてしまっているように思います。
もう一度、一から教育を問い直し、本質を見極めていかなければいけない時期にきているのは間違いないですね。
まとめ
「成長思考」と「好奇心」というこれからの時代に欠かせない力について解説してきましたがいかがだったでしょうか。
まとめると
- 成長思考=前向きに成長しようとする力
- 好奇心=全ての学びの土台
でした。
とにかく、この2つの力を育てるという軸をブラさなければ、あなたの子育てはきっと大丈夫です。
迷った時はこの記事に帰ってきてください。