どうもガクせんです。
担任を長く経験していれば、このような悩みは必ずといっていいほど経験するのではないでしょうか。
事実、ボク自身もたくさん経験してきました。
しかし、ボクは、アドラー心理学と出会い、この問題を解決することができました。
ポイントは
このスリーステップを行ったり来たりしながら、徐々に解決していく力をつけていくことができました。
今回は、この①の問題行動を起こす子どもの目的や②の問題行動を起こす子への適切な対応方法を中心に解説していきます。
今回の参考文献は、アドラー心理学を日本に広めたとも言える名著「嫌われる勇気」の続編である岸見一郎さんの「幸せになる勇気」です。
この本は、問題行動だけではなく、さまざまな人間関係の悩みを解消してくれるオススメの一冊です。
- 問題行動をおこす理由(目的)がわかり、適切な対応の仕方が分かる
- 子どもたちと良い関係が築けるようになる
ではまいりましょう!
目次
問題行動の目的とは
なぜ、子どもたちは問題行動に走るのか?アドラー心理学が注目するのは、そこに隠された「目的」です。つまり、子どもたちが、いかなる目的を持って問題行動に出ているのか、5つの段階に分けて考えるのです。
引用:岸見一郎「幸せになる勇気」
問題行動の5段階はこちら↓
- 称賛の要求
- 注目喚起
- 権力争い
- 復讐
- 無能の証明
では一つずつ解説していきます。
称賛の要求
問題行動の第1段階、それは「称賛の要求」です。
親や教師に向けて、またその他の人々に向けて、「いい子」を演じる。組織で働く人間であれば、上司や先輩に向けて、やる気や従順さをアピールする。それによってほめられようとする。入り口は、すべてここです。
引用:岸見一郎「幸せになる勇気」
これだけ読むと別に悪いことではないように思えます。
しかし、この行動の目的は、あくまでも「ほめてもらうこと」であり、さらに言えばクラスなどの集団の中で特権的な地位を得ることなのです。
つまり、この段階の子たちは、ほめてくれる人がいなければ、適切な行動をしないのです。
大人がほめることを続ける限り、この行動は強化されていきます。
「特別」でなくとも価値があるのだと、教えていくのです。「尊敬」を示すことによって。
引用:岸見一郎「幸せになる勇気」
つまり、何かいいことをした時に注目するのではなく、普段の些細な行動に目を向ける。
そして、その子の「関心事」に注目し、共感を寄せていくということです。
例えば、その子の好きなことやものを知っておき、その話題で話しかけてみる。
その子の良さに目を向け、「そのままで十分良い」ということを言葉や態度で伝えてあげる(勇気づけ)などがそれです。
子どもの関心事を知るためのオススメツールについてはこの記事↓
勇気づけができる先生になりたい方はこの記事↓
注目喚起
問題行動の第2段階は「注目喚起」です。
せっかく「いいこと」をしたのに、ほめられない。学級のなかで特権的な地位を得るまでには至らない。あるいはそもそも、「ほめられること」をやり遂げるだけの勇気や根気が足りない。そういうとき、人は「ほめられなくてもいいから、とにかく目立ってやろう」と考えます。
引用:岸見一郎「幸せになる勇気」
この段階のやっかいなところは、ほめられることよりも、「目立つこと」が目標になるので、悪いことや叱られるようなことも平気でやるようになります。
とにかく、目立つことを通して、クラスの中で特権的な地位を獲得し、自分の居場所を確保しようとします。
例えば、授業中に騒いでみたり、教師をからかってみたりして、注目を得ようとするのがそれです。
また、消極的な子どもたちは、忘れ物をくり返したり、泣いたりと「できない子」として振る舞うことで注目を集め、特別な地位を得ようとします。
「愛の反対は憎しみではなく無関心です」という言葉をマザー・テレサが残していますが、まさにその通りで、憎まれてでもいいから関心をひきたいと思うのが人の心なのです。
つまり、本能的に無視されるくらいなら叱られる方がいいと思うのです。
ここでも、第一の段階と同じように、何か悪いことをした時に注目するのではなく、その子の「関心事」や「良さ」に注目し、共感を寄せていくという接し方が効果的です。
これは、無視のスキルと選択的注目といいます。
どういうことかというと
悪い行動はあえて無視する。(無視のスキル)
その子自身の素の良さに注目する。(選択的注目)
権力争い
問題行動の第3段階。ここで彼らの目的は「権力争い」に突入します。
誰にも従わず、挑発をくり返し、戦いを挑む。その戦いに勝利することによって、自らの「力」を誇示しようとする。特権的な地位を得ようとする。かなり手強い段階です。
引用:岸見一郎「幸せになる勇気」
これを一言でいうなら「反抗」です。
親や教師を、口汚い言葉で罵り、挑発する。
癇癪を起こして暴れる。
万引きや喫煙に走るなど、平然とルールを破る行動も反抗の一つです。
消極的な子どもたちは、勉強や習いごとを拒絶したり、大人たちの言葉に無視を決め込むなど「不従順」によって権力争いを挑みます。
ここで大人が子どもと同じ土俵に立ってしまうのはNGです。
相手は挑発することで、権力争いという土俵に招き入れているのです。
相手は待ってましたと言わんばかりに反抗の炎をさらに燃え上がらせていくことでしょう。
まずは相手の土俵から降り、平常心で相手に接することです。
この本に出会う前、先生としてボクもこの権力争いのレベルまで経験したことがあります。
「まずい・・・。」と感じたボクは、冷静になったところで、その子と腹を割って話し合ったことを覚えています。
先生が悪かったところを謝り、子どもが今抱えている気持ちを聞こうと努めました。
なんとか、関係を修復できたのですが、あのままぶつかり合っていたらどうなったことやらと今考えるとゾッとします。
復讐
問題行動の第4段階、ここで人は「復讐」の段階に突入します。
意を決して権力争いを挑んだのに、歯が立たない。勝利を収めることができず、特権的な地位を得ることもできない。相手にされず、敗北を喫してしまう。そうして戦いに敗れた人は、いったん引き下がった後に「復讐」を画策します。
引用:岸見一郎「幸せになる勇気」
この段階までくると解決はかなり困難です。
第1段階から第3段階までは、あくまでも「もっとわたしを尊重してほしい」という気持ちの現れでした。
しかし、この第4段階は憎悪という感情のなか、わたしに注目してほしい。そう考えるようになります。
つまり、ひたすら人が嫌がることをくり返し、「憎まれている」という一点でつながろうとするのです。
例えば、陰で、先生のものを隠したり、壊したりします。
また、自傷行為や引きこもりも復讐の一部です。「こんな自分になってしまったのはお前のせいだ」と訴える行為なのです。
非行グループや反社会的勢力に入って犯罪に手を染める子どももいます。
消極的な子は、常識では考えられないほど不潔になったり、グロテスクな趣味にはまっていくなど復讐の手段はさまざまです。
もし、あなたの学級にそのような生徒がいるとしたら、あなたにできることはなにもありません。彼らの目的は「あなたへの復讐」です。あなたが手を差し伸べようとすればするほど、復讐の機会がきたとばかりに言動をエスカレートさせていきます。こうなったらもう、利害関係のない、まったくの第三者に助けを求めるしかない。つまりほかの教師や、学校の外にいる人間、例えばわれわれのような専門家に頼るしかないでしょう。
引用:岸見一郎「幸せになる勇気」
第4段階まできてしまうと、もう担任1人でどうにかできるレベルではないということです。
今学校では、児童指導専任などの役職も設置されるようになりました。
迷わず、第三者に助けを求めるようにしましょう。
その選択が、子どものためにも先生のためにもなります。
無能の証明
「特別な存在」として扱われようと、ここまでさまざまな策を講じてきたものの、どれもうまくいかない。親も教師も級友も、憎むことさえしてくれない。学級にも家庭にも、自分の「居場所」を見出せない。
〜略〜
人生に絶望し、自分のことを心底嫌いになり、自分にはなにも解決できないと信じ込むようになる。そしてこれ以上の絶望を経験しないために、あらゆる課題から逃げ回るようになる。周囲に対しては「自分はこれだけ無能なのだから、課題を与えないでくれ。自分にはそれを解決する能力がないのだ」と表明するようになる。
引用:岸見一郎「幸せになる勇気」
この第5段階まできてしまうと、専門機関との連携が不可欠になります。
子どもは無気力になり、愚者を演じ、一切の課題をや周囲からの期待を拒否します。
なんらかの精神疾患を疑われることもあるといいます。
上述したように専門家に頼るしかないのですが、専門家でもかなり難しいと言われる段階です。
まとめ
問題行動5段階の特徴と対応の仕方について解説してきました。
教師や親ができることとして、とにかく言えるのは、「第3の段階より先には絶対に踏み込ませてはならない」ということです。
そのためにも、親や教師は
- 問題行動の段階を見極めること
- 段階に合わせた正しい対応をすること
が求められます。
児童精神科医の佐々木正美先生の講演の中で
「無知で熱心な先生が1番厄介だ」とおっしゃられていました。
まずは、正しい知識を得ることを大切にしていきましょう。
その上で自己の中にある熱心さがかけ算されたのなら鬼に金棒ですね。
ボクも、子どもや先生、保護者のためにより良い情報や知識を提供できるよう努めていきます。
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