どうもガクせんです。
あなたも、一度や二度はこのような悩みを感じたことがあるのではないでしょうか?
正直、ボクも教員生活の中で何度も悩みました。
そんな中、出会えたのが「内発的動機づけ」です。
これこそ、子どものやる気を引き出すのに欠かせない核となる考え方でした。
- 内発的動機づけとは何かがわかる。
- 子どものやる気を引き出す達人になれる。
前回も紹介したポール・タフさんの著書「私たちは子どもに何ができるのか」を基に解説します。
この本は、本当に素晴らしく、心からオススメできる一冊です。
ではまいりましょう!
目次
内発的動機づけって何?
子どもたちのやる気を引き出すキーとなる「内発的動機づけ」
では、「内発的動機づけ」とはいったい何なのでしょうか。
内発的動機づけとは好奇心や関心によってもたらされる動機づけであり、賞罰に依存しない行動である。
引用:Wikipedia
内発的動機づけを理解するためには、内発的とは逆の外発的動機づけを知っておくとわかりやすいです。
簡単に言えば、先ほどで出てきた「賞罰」こそ内発的動機づけとは逆の外発的動機づけのことです。
外発的動機とは簡単に言うと「飴と鞭」のこと
- 飴→報酬「○○したらゲームを買ってもらえる」など
- 鞭→懲罰「○○しなかったら殴られてしまう!」など
このように、「外からの刺激(飴と鞭)が行動を起こすきっかけ(動機)になる」というのが外発的動機です。
つまり、「内発的動機づけ」とは、このような賞罰(外発的動機)にいっさい頼らない動機づけなのです。
本書の中では
その行動によってもたらされる内面的な楽しみや意義を動機として決断を下す。
「私たちは子どもに何ができるのか」より
と述べられています。
つまり、「行為そのものに、楽しさや意義を感じ、行動を起こす」ということです。
行動を起こすきっかけ(動機)が自分の外からくるのが「外発的動機」
行動を起こすきっかけ(動機)が自分の内から湧き上がるのが「内発的動機」
ここまでは基礎です。
では、もう少し詳しく内発的動機をみていきましょう。
内発的動機には以下の3つの要素があると述べられています。
- 有能感
- 自律性
- 関係性
一つひとつ見ていきます。
有能感
このような、心から成長したいという思いや成長の実感などが有能感です。
小さい時に、スポーツに夢中になったり、ピアノに夢中になったり、将棋に夢中になったりと、何かに夢中になった経験がある人も多いと思います。
まさに、その夢中という感覚の中に有能感があります。
自律性
自律性とは、「自分で決めている」という実感のことです。
他者から命令されるのではなく、自らの意志で決定できているという感覚がそれです。
関係性
関係性とは、その名の通り、人との関係のことです。
もう少し詳しく言えば、この人と繋がれている、いい関係が築けているという実感です。
以上のような3つの要素で内発的動機は構成されています。
では、なぜ、このような3つの要素(内発的動機づけ)が必要なのか?どのようにこの3つの要素を教育の中で活用していけばいいのか?について解説していきます。
なぜ内発的動機が大切なのか
本書では、心理学者のデシとライアンが行った「内発的動機づけ」に関する二つの実験について触れられています。
その中の一つを簡単に紹介すると
- 学生を集め、2つのグループに分けたのちパズルに取り組ませる。
- Aグループには、パズルを完成させるごとに報酬を与え、もう一方のBグループには何も与えなかった。
- 次の日は、AB どちらのグループにも報酬を与えなかった。
すると・・・
Bの報酬を受けなかったグループは、だんだんとパズルに夢中になり、パズルを完成させるまでの時間を短縮させていった。
Aの報酬を受けたグループは、報酬を受けた日は報酬を得ようとより懸命にパズルに取り組んだが、次の日はパズルに見向きもしなくなった。
という結果に。
ここから何が言えるのでしょうか。
本書では
わくわくするパズル遊びが報酬の導入によって「仕事」になってしまったのだ。仕事となれば、支払いも受けられないのにやりたがる人はいない。
「私たちは子どもに何ができるのか」より
とまとめられています。
また、デシとライアンは
人間は生まれながらの学習者で、子どもたちは生まれつき創造力と好奇心をもっており、学習と発達を促進する行動をとるよう、内発的動機づけがなされている
「私たちは子どもに何ができるのか」より
と述べています。
確かに、赤ちゃんを観察しているとよくわかりますね。
誰かが教えなくても、親の動きを真似して、立ったり、喋ったりと能力を発達させていきます。
このことから、私たち大人の働きかけによって、本来もっている子どもたちのやる気を奪っしまっていると言えるのかもしれません・・・
そのことについて本書では、
内なる満足のためではなく、何か別の結果のために行動しなければならなくなった瞬間に、外発的動機づけが必要になる。
デシとライアンによれば、こうした外発的動機づけを自分のうちに取り込むようにうまく仕向けられた子どもは、モチベーションを徐々に強化していけるという。
「私たちは子どもに何ができるのか」より
と述べられています。
それには、先ほど紹介した「有能感」「自律性」「関係性」の三つを促進する環境を教師や親などの大人がつくり出すことが重要だということです。
具体的に見ていきましょう。
子どものやる気を生み出す方法
わくわく感を伴わないものであっても「有能感」「自律性」「関係性」を促進すればやる気を引き出すことができる、と本書では述べられていました。
では、どのような時に3つの要素を引き出すことができるのでしょうか。
一つ一つ見ていきましょう。
「有能感」
やり遂げることはできるが簡単すぎるわけではないタスクを与える。
つまり、少し背伸びすれば手が届くような問題や課題を子どもに提供するということです。
今の学校では、一斉学習が主流となっているので、もう少し個別最適化して、個人の有能感を引き出せる環境をつくっていく必要がありそうですね。
「自律性」
自分で選んで、自分の意思でやっているのだという実感をもたせ、管理、強制されていると感じさせないようにする。
例えば、つまらない課題であっても、「AとBだったらどっちからやる?」や、「何時から始める?」というような質問を投げかけ、自分で選ぶという工程を踏ませることで、自律性が生まれるということですね。
「関係性」
教師や親に好感をもたれ価値を認められ、尊重されていると子どもが感じられるようにする。
簡単に言えば、心から子どもを「信じて任せる」ということです。
「あなたなら大丈夫だね」「きっとできると思うよ」など信頼を寄せる言葉を届けたり、管理、監視のようなことを止めたりすることが大切です。
「この三つの感覚には、どんな報酬よりも、はるかに動機づけの効果がある」とデシとライアンは述べています。
まとめ
いかがだったでしょうか。
最後に
生徒が自律性、有能性、関係性を実感できる教室環境は、内的動機づけを育てるだけでなく、あまり面白くない学習作業も進んでやる気にさせるものだ。
「私たちは子どもに何ができるのか」より
今までの教育観では、「外的動機づけを駆使しながら子どもを操作する」のが一般的だったのではないでしょうか。
ボク自身も、先生になってご褒美シールや叱責や罰などさまざまな外的動機づけをしてきてしまいました・・・。
自分の反省の念も込めて今回の記事を投稿いたします。
今回の学びを体得することで、大人も子どもも幸せな教育が実現すると信じています。
そんな日を願いつつ、また皆さんにとって有益な情報を発信していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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